天然イノシシ~米フロンティアミート社訪問~
こんにちは。今年の初めに野生のイノシシを求め、二度目のテキサス訪問を果しました。
さすがテキサス、西部劇さながらの果てしない荒野が広がっており、これぞ「オールド・アメリカン」と呼ぶに相応しい雰囲気に満ちておりました。
テキサス州の総面積は69万5千平方kmと、日本の国土のおよそ2倍弱という 広大なもので、その大部分は荒野の続く平野か丘陵地、もしくは砂漠地帯です。フロンティアミート社のあるフォートワースは、昔ながらのウェスタン風の建物が残されている観光地でもあります。
さて、今回の目的は、一昨年から本格的に販売を始めた天然イノシシの新商品開発と、そのイノシシを実際に捕獲するところを確認することです。そもそもなぜ我々がイノシシを始めたかといいますと、古来より日本の食文化でもあるボタン鍋や、ヨーロッパで昔から親しまれている「ジビエ」料理としての食材を探したかったからです。
「ジビエ」とは本来野生動物の事を指し、脂がのる秋から冬にかけて狩猟された野鳥や獣肉は昔から重宝されてきました。しかしながら日本でも海外でも野生のイノシシを安全で衛生管理の整った工場で生産する所はそれほど多くありません。日本に限らず、狩猟で獲られた動物のほとんどは、鮮度を保つため迅速な処理が必要ということから猟師がその場で解体するか、持ち帰って家で解体するのがほとんどなのです。
そんな中、フロンティア・ミート社は生きたままの天然イノシシを捕獲、処理できる数少ない工場で、これによりトップトレーディングは本物の「ジビエ」を日本のお客様に安全に供給で出来る様になりました。我々は現在ここから様々な部位のイノシシを現在輸入しています。
今回視察した狩猟ポイントはフォートワースから北へ数百キロのところにある最も近いポイントで、車に2時間弱揺られましたが、着いたところは先程まで車窓からずっと見えていた荒野…。
これなら2時間前に郊外へ出た時の風景となんら変わってない!っと思わずツッコミを入れそうになりました…。「日本人に限らず普通の人ならまずこんな僻地まで来ないだろう。」とか、「ここで取り残されたら、間違いなく―THE END―だなぁ。」とか、頭によぎる様々な邪念を振り払い気分を一新、案内された罠を見物しました。ついついイメージで、カウ・ボーイが馬に乗り、投げ縄を使ってイノシシを捕える場面を想像してしまいますが、いかにここがテキサスの地であろうとさすがにありません。
そこには、こんなので本当に捕れるのか?とつい疑ってしまう様な、何とも古典的かつ原始的な罠がありました。(↓)
要は、餌を食べに来た野生のイノシシが足を引っ掛け、檻の蓋が閉じて捕えられるというこれ以上ないシンプルな仕掛けで、 太い針金で組んだ80×80×150 ㎝の大きな籠でした。檻の中央にトウモロコシなどの餌を撒き、さらに誘き寄せるために周辺にも餌を撒きます。
今回は檻を仕掛けるポイントを教え
てもらいました。実践する機会があれば、是非試してみて下さい。それはただひとつ、「獣道に沿って仕掛ける」。それだけです。 要するに、イノシシは同じところを通ることが多い、ということです。ただし獣道は、イノシシだけでなく、 他の色々な動物も通るので、時折野鳥類や他の動物も
多く入るようです。実際、案内してもらったハンターの方の家で見せてもらった今までの獲物の中には、狐やハリネズミ、スカンク、そしてボブキャット(ネコ科オオヤマネコ属の中型獣)やコヨーテ(イヌ科イヌ属のオオカミと近縁の種)など、毛皮に使用される様々な動物が捕獲されていました。(無論、我々が見た彼らはすでに天に召されておりました・・・。なむなむ)
そこでなぜかボブキャットと記念写真をとってやろう、と言われ、半ば強引に冷たく凍ったボブ様の亡骸を持たされ、写真を撮らされました。けれどさすが上質な毛並みをもつボブキャット、先程まで冷凍庫に入っていたとは思えないくらいふかふかの毛並みで気持の良い感触でした。(断わっておきますが、決して快く触ったわけではございませんのであしらからず。)
さて、イノシシの話題に戻しまして、フロンティア・ミート社が集めているこのようなイノシシの捕獲ポイントは、テキサスにおよそ40ヶ所あり、各ポイントに数十から数百の仕掛けを置いています。また農家から持ち込まれたイノシシなどを合わせると、冬場の多い時期で週に約1,200頭が捕獲されているという事です。
ちなみに夏場40℃以上になるテキサスでは、檻の中、炎天下でイノシシが衰弱死してしまうケースが多く、イノシシの生産はほとんどありません。訪問したのは冬でしたが、なるほど、さすがのイノシシも熱中症になるくらい暑くなるということは景色を見渡せば容易に想像できます。近くに川もありませんし、日陰にいなければ、数時間ともたないでしょう。
しかし、こんな何もないところでこの一帯のイノシシ達は何を食べているのだろうか?聞くと彼らはドングリを食べたり、穴を掘ってイモを食べたりしているそうです。テキサスのイノシシはもともとハンティング用に放たれたものが増殖していったと考えられていますが、今では立派な害獣として、近隣の農家から嫌われており、畑の作物なども餌にしているようです。今回ハンターさんの家へお邪魔している間にも4,5軒の農家の方がイノシシを持ち込んで来ていました。
さて、再びフロンティア社に戻り、もうひとつの目的である新商品を作ってきました。仔イノシシを丸々一頭、という規格と、スペアリブ
です。仔イノシシは、仔豚の丸焼のように、スペアリブはBBQ(バーベキュー)用にと、どちらもワイルドな使い方ができる規格を目指しての開発でした。
しかし相手はなにせ天然の野生イノシシです。大きさやサイズのバラつきが多く、非常に苦労しました。時には3倍以上サイズの違うものが出て来たこともあります。そんな中日本向けに規格を作り直し、ようやく現在に至ります。…が、今でも届いたばかりの商品を見る時は緊張します。(本音)
最後にフロンティア・ミート社について簡単にご紹介します。フロンティア社ではイノシシ肉以外にもバイソン(通称バッファロー)の肉や牛肉、馬肉、羊肉、エミュー(ダチョウ目に属するダチョウに似た大型の鳥)の生産もしています。乱獲により絶滅の危機にあい、その頭数は600にまで減ったアメリカバイソンですが、現在では40万頭にまで回復し、アメリカでは低カロリー、低コレステロールのヘルシーミートとして注目され、スーパーなどでも売られています。実際に地元のレストランで食べてみましたが、柔らかく、クセの無い、さっぱりした肉で、なかなかの美味でした。日本ではあめり見る機会が無く、もちろん食べる事はできません。(BSEの影響で輸入は認められていません。) 生きたバイソンもはじめてここを訪れた時に見せてもらいましたが、とても感動しました。これぞ役得。
なんだかんだと今年も珍道中でしたが、「百聞は一見にしかず。」という言葉の通り、内容のあるよい出張でした。
記事:北さん
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