私はフランス・ブルターニュ(Bretagne)地方の出身です。海に囲まれ自然が豊富なブルターニュ地方は、フランス人がヴァカンスを過ごす場所としても非常に人気があり(ニース近辺はもちろん人気がありますが何でも高いんです!!)、またこの土地独特な食文化、食材などもたくさんあります。そして、この地方出身のフランス人(ブルトン~Breton~と言います)は頑固一徹、人情に厚い、そしてブルトン同士というだけで仲良くなれる!!ということでも有名です。
私の会社はその少し下、ロワールアトランティック(Loire-Atlantique)地方のアンスニ(Ancenis)に位置し、そこの近くに今は住んでいます。車で60km程走ると、フランスで6番目の都市、ナント(Nantes)があります。海が近いナントは魚介類も豊富、街のあちこちに出るマルシェには、1年を通じて様々な新鮮な魚が並びます。(刺し身で食べられるマグロも売っていて、私はこれに目がないんです!!)それこそフランス中、いや世界中の一流のシェフ達が好んで使う、ラングスティーヌ(Langoustine)やオマール海老(Homard)などもとびきり美味しいものが手に入ります。
ナントは、ブルターニュ地方も近く農作物も豊富、またこの辺りは乳製品の生産量も多いので、チーズやバターも美味しいものが手に入ります。
農家をしていた祖父母とたくさんの時間を過ごした幼少の頃、それは様々な美味しいものを食べました。決して“豪華”ではありませんでしたが、今では手に入れることさえ難しくなった自然の味を生かした本物の食べ物が、この時代にはたくさんありました。そんな私の夢は、料理人になることだったのですが、残念ながら夢叶わず、今はその美味しい食材を探し出し、それを世界中の料理人の方々にお届けすることに私の人生を捧げています。
先日、私は我が家でフランス料理フルコースを作りました。今日はその料理を写真と共に皆様にご紹介したいと思います。大切なのはなんといっても買出し、もちろんナントまで車を飛ばして季節の食材の宝庫、マルシェに行ってきました。
まずはアントレ2品のご紹介。
~アントレ①~「海の幸・ナント風サラダ」
フランスのマルシェでは、甲殻類はすでに加熱したものがたくさん売っていますが、こだわりの私は全てフレッシュのものを購入、自宅でゆでました。日本では見かけないですが、フランスでは通年を通して栽培されている非常に美味しいサラダ用野菜のマーシュ(Mâche)とプチトマト(共にナント産)をあしらえ、ラングスティーヌ、エビの新鮮な持ち味を生かして、シンプルなヴィネグレット(vinaigrette、ドレッシング)で仕上げました。上には薄く削ったパルミジャーノレジャーノをかけてあります。
<食材>
●ロクチュディ(LOCTUDY)産のラングスティーヌ
日本ではあかざえび、スキャンピとも呼ばれていますが、フランスLOCTUDY産のものは世界的に有名です。甘味、そして新鮮さ、とその味は格別です。
●サンジル・クロワ・ド・ヴィ(Saint-Gilles Croix de Vie)産のエビ
昔はイワシがたくさん取れた町ですが、今は美味しいエビが生きたままマルシェに直送されます。写真左のピンク色がかっている方がクルヴェットローズ(Crevette rose)で、ちょっと歯応えがあり、ジュースもたっぷりで海の香りが強いです。フランスでは塩バターをパンドカンパーニュにぬって一緒に食べます。右のブーケ(Bouquet)と呼ばれるエビは、体長6-10cmで少し大きめですが身は柔かく、マヨネーズやアイヨリソース(Aioli, おろしにんにくを加えたオリーブオイルベースの乳化ソース)をつけて食べます。
●ナント近辺で採れたプチトマト
マーシュと共に買いました。まさに収穫したて!!って感じがしませんか?
~アントレ②~「オリヴィエ流 海と山の幸のドーム」
ドームの内側をお見せできなくて残念なんですが、フォアグラ、マーシュ、ほぐしたトゥルトーの身、家の畑で取れたミニトマトで作ったペースト、さっとゆでてタリアッテレのように薄くスライスしたミニクルジェット(mini-courgettes、ミニズッキーニ)、これらを順番に層にしていき、表面をマンゴーの薄切りで覆いました。食べる時に25年もののバルサミコヴィネガーを少量たらします。
どんな味か想像できないですか? 美味しかったかどうか、それは内緒です!!
<食材>
●ミキュイ(Mi-Cuit、低温で加熱した)のフォアグラの薄切り

この断面の色とつや、いかにフォアグラがフレッシュだったかがよくわかります。
●トゥルトー(Tourteaux)の爪
ヨーロッパいちょうがにと呼ばれるフランスではお馴染みのカニです。大きな爪には身がぎっしりと詰まっていてとても美味しいです。これもマルシェでフレッシュを購入、家でゆでました。
●ミニクルジェット(ミニズッキーニ)
この頃いろいろなミニ野菜がフランスでも出回っています。ちょっとしたパーティーなどの料理には、いつもと違った野菜料理が楽しめます。
次はメイン料理2品のご紹介です。もちろん、メインにはブルターニュの海の高級食材!!オマール海老とバルビュ(Barbue)を選びました。
~メイン①~「オマール海老のグラチネ、ウニのソース」

オマール海老は生きたまま半分に切り、農家の手作りバター、ウニ、燻製にした塩、を
混ぜたものを表面に塗り、オーブンで20分焼きました。もうこの美味しさといったら
・・・・天にも昇る気持ちでした。
<食材>
●ブルターニュ産オマール海老(Homard Breton)
この立派な体格見てください。これ何と1尾で1.7kgあります。もちろん生きています。
●ウニ(Oursin)
フランスでもウニを食するということは、あまりご存知ないかもしれませんが大きな海沿いのマルシェに行けば売っています。
●スモーク塩(Sel fumé)
アイルランドのConnemara産の食材で、海塩を泥炭の上でスモークにしたものです。白身の魚などに合わせると、強いスモークの香りと味を楽しめます。
~メイン②~
「ブルターニュ産バルビュ(Barbue)のポワレ
塩バター風味 ミニ野菜を添えて」
バルビュは骨付きのまま大きくカットして、フライパンでさっと焼きました。付け合せにはミニ野菜とアンディーブ(Endive)、セップ(Cepe)のにんにくソテー、パースニップ(Panais)のピューレ、トマトソース、食べるときにフライパンでちょっと焦がしたバターソースをかけていただきます。
<食材>
●Barbue(バルビュ)
正確に言うと、ひらめに似たカレイ目の海水魚で、北東大西洋、地中海沿岸の水深200m以下に生息しています。体長30-75cmで重さは1-2kgですが、写真の私の携帯電話と比べてもらえばその大きさはわかります。身は脂肪分が少なくあっさりとしています。
●ミニ野菜
ティースプーン程度の小さな野菜たち。まるごと付け合わせに使うとかわいらいい演出ができます。
さて、メインの締めくくりは肉料理です。
~メイン③~
「スペインカスティーユ(Castille)産乳飲み仔羊の
肩肉のロースト、サリエット風味」
骨付きの肩肉は約650g程、骨を抜いて成型をし、サリエット(Sarriette)を合わせました。
サリエットは、和名で「キダチハッカ」と言い、ミントとタイムを合わせた香りの香草でフランスでは仔羊とよく合わせます。オーブン230℃で約25分焼き、付け合せには、じゃがいも、にんじん、ズッキーニを組み合わせました。この小さなじゃがいも、ポムドテール・グルナィユ(Pomme de terre grenaille)と言うんですが、にんにく風味でソテーするともういくつでも食べられます。(ちょっと焦げすぎてしまいましたが・・・)
<食材>
●アニョードレ(Agneau de lait)
仔羊の中でも乳飲み仔羊の美味しさ、は格別です。そしてなんと言っても私が世界で一番美味しいと思っているCastille産のアニョードレは、飼育日数平均27日、肉の味、柔かさ、脂の味、と一度は食べていただきたい食材です。(パリに行かれた時には是非レストラン・サンドランスへ、グランドメニューに出ている人気の1品です。)
最後はデザート
しっかりと食べましたので、デザートは軽いものを。
~デザート~
「いちじくのロティ(Rôti)、アイスクリーム添え」
フレッシュないちじくをフライパンでさっとソテーしました。アイスクリームを添えていただきます。
<食材>
●いちじく
マルシェで買った新鮮ないちじくは糖度が高く、実もしっかり詰まっていて、とってもジューシーです。
もちろんプロの料理人ではないので、レストランのような訳にはいきませんが、僕も時々こうやって腕を奮います。こうした料理を美味しいワインと一緒に、楽しくおしゃべりしていただく、これこそフランスの文化だと思います。また季節が変わったら、フランスの様々な食材をご紹介したいと思いますのでお楽しみに。
ボナペティ!!